本日の大晦日を控えた30日、チベット鉄道であるT264次に乗車。通常の元旦前後は閑散期なのだが、今年は春節が1月下旬にあることと、折からの不景気で職を失った民工たちの前倒しの帰省が発生しており、広東のターミナルとなる広州駅は非常に混んでいた。駅舎の正門からは5ヶ所入り口が開放されていたものの、すべて長蛇の列を成しているため、前日目をつけておいた広深城際列車切符売り場から並び待ちせずに駅舎に入った。
席候車室に着いたのは発車1時間前。しまった、こうなることなら買出しをして置けばよかった!と後悔しても、スリが多くいそうな物騒な駅舎の中をウロウロするのは賢くないため、車内か途中駅で買うことに発想を切り替えた。次々と列車改札の案内が流れるなか、12:25ぐらいにT264次の案内もきた。ただし、ホームは指定されておらず、2階の第3候車室へ行くようにいわれた。
第3候車室がこの時間帯のチベット鉄道乗車専用候車室となっており、係員に切符を見せてホームへと向かう。しかし、1番ホームと聞かされたものの、列車なんぞ停まっていないじゃん? と不審と周りをきょろきょろ見回すと、同じ1番ホームだけど、臨時列車に使いそうな場所にT264次は停車していた。これは予想外だった。
今回乗車する列車は建前上15両編成だったが、閑散期のため、12号車の硬臥車、11号車の硬座車が間引かれていた。そして、軟臥車はホームに人はいっぱいいたものの実は見送りの人ばかり。軟臥車の6号車は4名、5号車も4名と広州駅始発段階で合計10名に達しておらず、ガラガラ。しかもなかには西安と蘭州で下車する乗客がいるため、ラサ着はもっと少なくなるだろう。これで旅行会社が「団体貸し切りのため買えない」という口実は嘘となった。まだ時間があったので、先頭車へ行き、広州から鄭州間を牽引するSS9Gを撮影。中国でホームの出入りの自由がないため、これを機会に思い切り撮らせてもらった。これは乗車前の最大の楽しみだ。
ようやく車内に乗り込む。ほぼ2年ぶり乗車となったチベット鉄道25Tだが、改めて乗車してみると、車両の使い勝手が良く、洗面台とトイレと給湯機ならびゴミ箱が一箇所にまとまっており、この辺の車両設計は寝台新幹線であるCRH2Eにも踏襲されている。また、車内のベッドは赤と黄色のチェック模様となっており、チョッピリ高級感が漂っている。デザイン的にも中国南車、北車の25Tよりも空間の無駄を感じられない。LED表示は、中国語だけだが、車外気温、時速、海抜、次の停車駅と到着時間が表示される。なかでも海抜表示は高度地域を走るチベット鉄道には欠かせない表示であり、今どの高さにいるかが十分良く分かる。車内は暖房が効いており、ダウンジャケット着用だと十分に暑い。
これほどいい素材を持つ車両でも、しかし悲しいことに、所属する局はサービスの悪さでは他局の追随を許さない広州鉄路集団公司である。液晶モニターの不備、車内電源の接触不良など、手入れが悪く、放置プレーにより車両の質を落としているから救いようがない。
列車は、定刻の13:07に広州駅を発車。55時間を要する乗車の旅が今始まった。乗務員は1車両2名が乗車している。サービスの質は長距離列車という中だるみ勤務形態のため、サービスは28日の乗車したT15次よりも劣る。まあとにかく乗務員同士の間で無駄口が多く、凛と感じさせる雰囲気ではなかった。駅停車中の使用禁止のトイレも勝手に鍵を開けて使用したりと、ある意味最下層レベル連中の寄せ集め、同グループのZ列車(Z17/8次)の乗務員の足元にも及ばない。
食堂車もおおかた従業員が働いているとは全く感じられず、無駄口と無駄な作業、そして、平均価格30元のボッタクリ華畜メニューには正直閉口してしまった。あまりにもレベルが低すぎるため、今回の乗車で食堂車利用はあと1回でいいやと諦めた。
列車は19:55に長沙駅に停車。予定より9分早い。長沙へ入る前は、通路のLED表示をずっと眺めていた。広州から長沙までの平均速度は100キロ弱。また、嶺南山脈を通過しているときは海抜は130メートル前後。長沙市内に入ると、海抜は20メートル台まで下がっていた。次の停車駅である武昌駅には駅手前でノロノロ運転と臨時停車で10分の遅れで、発車も23:55の15分遅れだった。しかし、そこは時速160キロのチベット鉄道。そんな遅れを取り戻すには時間を要さず、31日の西安駅到着にはすっかり定刻となっていた。
時間を戻すと、武昌から三門峡まではお休みタイム。ただ、31日の朝の5時に突然、「10号車(硬座車)で病人が発生したため、お医者さんを探している」というアナウンスが5回も個室内に流れた。不謹慎ながら、早朝から馬鹿でかい声で動物園のなかから聞こえそうな猛禽類の鳴きは勘弁してくれと感じる。本当に全漢満席野生動物園だ。
西安までの道中、8時過ぎにようやく太陽が昇ったと実感するほど朝は遅い。潼関、華山と山に囲まれながら列車は大きくカーブをするたびに減速。山に沿って建設した路線のため、隴海線のボトルネックの原因となっているひとつの理由だろう。それでも西安近くにはペースを取り戻し、10時過ぎたけど、ほぼ定刻で西安駅に着いた。10時だというのに駅構内は朝もやで覆われており、外の温度はマイナス5度を表示していた。
西安駅ホームに停車している鄭州から蘭州まで牽引するSS7Eを撮影。向かいの1番ホームには新規に設定されたZ94/1次上海~西安のZ列車が回送されていた。西安から宝鶏までは線路はストレートのため、時速150キロ近く出ていたものの、宝鶏を過ぎるとペースダウン。宝鶏~天水間は渓谷の中を走るため、最初はスロー運転となるが、隴海線の下り線は高速規格を持つ路線のため、130キロ近くまでは出ている。ただし、トンネルが多いため。ネット接続状況は全然よろしくない。
天水を過ぎたあたりの海抜は1185メートルだった。
16:30に蘭州駅に到着。重連のDF4Dと電源車のKD25Tを連結し16:45に発車。この駅で同室の乗客は降りてしまい、実質自分ひとりとなった。
しかしホント、ネット接続よくねえな!